‪GAMBIT: Why I Want to Kick off a New Life Abroad

The exodus from this abyss shall be hereby transcribed.

日本一ブラックな職場 防衛省幕僚監部

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電通ワタミNHK・・・。ブラック企業と聞くと、これら企業を想像する方も多いでしょう。

では日本一ブラックな会社は?と聞かれると、さぁどこでしょう、うちの職場がいちばんブラックだよ、という人も多いと思います。

国家公務員がブラックなのは昨今になって知られてきましたが、国家公務員の中でも特別にブラックな、いやおそらく日本一ブラックといっても過言ではない職場が、東京・市ヶ谷にあるのです。

国家公務員で「月100時間超」の残業が常態化、メンタル不調が多発か 慶大調査 (1/2) - ITmedia ビジネスオンライン

 

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本記事で特集する職場は、防衛省の幕僚監部です。

幕僚監部とは、例えば『三省堂国語辞典 第七版』の解説によれば、

(法)防衛大臣のもとで、防衛・警備についての計画や運営などを受け持つ機関。陸上・海上・航空の各自衛隊におかれ、また、統合幕僚監部がある。

とあります。

幕僚監部は総理大臣や防衛大臣などの政府高官に対し軍事的観点からアドバイスを行う機関であり、自衛隊の制服組*1の取りまとめ役でもあります。

幕僚監部のトップは幕僚長と呼ばれ、2018年11月現在、統合幕僚長は河野克俊、陸上幕僚長は山崎幸二、海上幕僚長は村川豊、航空幕僚長は丸茂吉成が務めています。統合幕僚長の河野克俊は、昨年の南スーダンPKO日報隠蔽問題の折にTVで見かけた方も多いと思います。

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第5代統合幕僚長・河野克俊海将。なお第3代統幕長は、東日本大震災の際に自衛隊災害派遣を指揮した折木良一陸幕長です。

防衛省職員、あるいは自衛隊員は制服組と背広組*2に分けられますが、制服組のトップ機関が幕僚監部であり、その長が各幕僚長なのです。

そんな幕僚監部、はてさてどれほどブラックなのか。ネットでは、同部は「市ヶ谷プリズン」などと噂されている様ですが…。

まず、内閣官房の採用パンフレットから。

陸上幕僚監部で予算担当として勤務させていただく機会を得ました。(中略)…連日深夜に及ぶ勤務ができた2年間でした。(出典:内閣官房 平成28年採用パンフレット)*3

採用パンフレットですから多少は濁しているでしょうし、「連日深夜に及ぶ勤務」なら民間企業でも体験したことがある人は少なくないでしょう。

では、次はこちら。

転勤先は海上幕僚監部の防衛課というところでした。海上自衛隊の防衛政策の立案にあたるセクションで、私は年度業務計画を策定する部門に配属になりました。ここでは予算要求と業務計画の作成及び実施の監督が主な業務です。

(中略)

さすがに当直は免除されていましたが、この防衛課勤務では月曜日に出勤して金曜日に帰宅するのが普通でした。室内にあるソファで寝ることができる日は稀で、大抵は机の下で寝袋で寝ていました。

(出典:株式会社イージスクライシスマネジメントHP「専門コラム「指揮官の決断」No.025 リーダーシップ:働き方改革」)*4

私が航空自衛隊の幹部の方に幕僚監部の激務ぶりについて聞いた時も、「週末帰れれば良い」「みな机の下で寝ている」と仰っていました。民間でここまでブラックな働き方をさせる企業はさすがに無いのではないでしょうか。平日帰れないのなら、敷地内に宿舎や宿泊施設でも作れば良いのでは…。

続いては国家公務員一般労働組合のブログから。厳密には制服組の証言ではありませんが、防衛省内局職員とのことなので、ご参考までに。

防衛省の本省では…(中略)職員の健康を犠牲にしても不眠不休で仕事をすることが当然視される不文律がまかり通っております。(中略)

しかし、その不眠不休で働く度合いが、尋常ではないと言うことです。国会業務や不測の事態への対応が重なり、木曜日の朝から土曜の朝まで48時間寝ないで仕事をしているなか、そのまま続けて勤務するように当然のように命じられるようなこともありました。もう気力も体力もボロボロのなか、さすがに休ませて欲しいと懇願して、他の人に代役をお願いした際に、散々上司から嫌味を言われたことを今でも忘れることはできません。

(出典:国家公務員一般労働組合「〈防衛省職員が告発〉48時間寝ずの強制労働、更に続けて働けという常軌を逸したブラック防衛省の実態」*5

48時間勤務。労働基準法によれば一日の労働時間は8時間が限度ですので、2日で1週間分の勤務をしたことになります。ん?国家公務員は労基法適用対象外?

続いては、どこかの新聞記事。元自衛官と思わしき方のブログに掲載されているものですので、孫引きとなりますがご容赦ください。

「目障りだ」「ばか」部下にパワハラ? 陸幕班長を停職5日
2015.8.26 18:49

防衛省陸上幕僚監部は26日、パワーハラスメントとみられる行為を繰り返して部下に精神的苦痛を与えたなどとして、陸幕班長(44)=1等陸佐=を停職5日、監督責任で上司の課長(46)=同=を戒告の懲戒処分にしたと発表した。2人の所属は明らかにしていない。

陸幕によると、班長は昨年3月~今年6月、部下の隊員数人を「目障りだ」「ばか」などと罵倒したり、机をたたいたりする行為を繰り返し、精神的苦痛を与えた。

今年3月と5月には「1カ月の休養が必要」とした病院の診断を受けるなどしていた2人の部下が体調不良を訴えたが、上司の課長に報告せず、休養を与えるなどの適切な処置を取らなかった。

陸幕は「こうした行為がパワハラに当たるかどうかは認定できていない」としている。

(出典:陸幕の「パワハラ」騒動について*6

自衛隊、軍隊の世界では罵倒や机をたたくのは普通かもしれませんが、カタギの世界ではあいにく通用しません。休養が必要、という病院の診察を無視するあたり、コンプライアンス意識もへったくれもありませんね。

なお、メガバンでは机を蹴飛ばす、物を机に叩きつける、などは普通にありました。つい数年前の話です。

最後に、河井繁樹元陸上自衛隊陸将補の著書より。

レンジャー訓練が後の自衛官生活にどう役立ったかといえば、やはり精神的な限界の基準を持つことができたことだ。例えば陸幕勤務で睡眠時間が数時間、徹夜もしょっちゅうというときに、これはもう限界かな、と思っても、まあレンジャーに比べればいいか、歩かなくていいからな、と思ったことがずいぶんあった。(河井繁樹『リアリズム国防論』P83)

自衛隊のレンジャー訓練では、数日間ほぼ眠らず、食事もとらず、4キロちかくある89式小銃や、20キロはあるバックパックを背負い、延々と山の中を歩きます。それだけでなく、敵陣地襲撃のために作戦を立案したり、周辺の警戒を行うなど、人間の限界を超える訓練がレンジャー訓練です。*7

そんな訓練と比較されるほど、陸幕(陸上幕僚監部)の勤務は過酷なのでしょう。


陸上自衛隊の精鋭 『レンジャー部隊』超過酷な訓練に密着

 

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不眠不休の長時間労働パワハラ当たり前の世界、幕僚監部。

安保法制の成立、陸上総隊および水陸機動団の設立など自衛隊の任務拡大が続く中、幕僚監部は世間の流れに逆行しどんどんブラックになるのでしょう。

自衛隊のイベントなどで、幕僚勤務について自衛官の方に聞いてみるのも面白いかもしれません。*8

*1:防衛省自衛隊で制服を着用する隊員のことを指す。

*2:いわゆる内局、文官。

*3:https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/files/h28_15.pdf

*4:https://aegis-cms.co.jp/525

*5:

https://blogos.com/article/194500/

*6:http://miltomil.blog.fc2.com/blog-entry-214.html

*7:ちなみに、防大を出て陸上自衛隊普通科に入隊した幹部自衛官は、基本的にレンジャーに行くそうです。陸上幕僚長を務めた火箱芳文、岡部俊哉の両氏もレンジャー課程修了者です。指揮幕僚課程と並び、レンジャー訓練は陸上自衛隊では出世の必須条件です。

*8:例の幹部自衛官の方は「幕僚監部は防大卒などエリートが行く場所で、自分は行きたくないので行かないようにしています」とも仰っておりました。そりゃそうだ、と納得。